社会保険労務士・年金アドバイザー
 

オフィス・椿活動日誌

オフィス・椿の日々の活動の記録など

【法改正】「肝疾患による障害」の基準の改正 その4

以上、「肝疾患による障害」の基準の改正をみてきましたが、最後に肝疾患による障害の認定の対象についてまとめております。
認定の対象となる障害は、以下のとおりです。
・慢性かつびまん性の肝疾患の結果生じた肝硬変症
・肝硬変症に付随する病態(食道・胃などの静脈瘤、特発性細菌性腹膜炎、肝がんを含む)
なお、慢性肝炎は、原則として認定の対象になりませんが、検査項目の異常の数などにより障害の状態に相当する場合は認定の対象となります。
「障害ねんきん相談室」では、今後とも、最新のニュースを発信して参ります。

【法改正】「肝疾患による障害」の基準の改正 その3

前号から引き続き「肝疾患による障害」の基準の改正のポイントについて触れております。
3.アルコール性肝硬変の基準の追加
肝硬変は、その発症原因によって、病状、進行状況が異りますので、これまでは各疾患の病態に合わせて認定されていました。
これに対し、今回の改正では、アルコール性肝硬変は、継続して必要な治療を行っていること及び検査日より前に180日以上アルコールを摂取していないことについて確認のできた者に限り障害の認定を行うものとされました。
これは「アルコール性肝硬変」ではなく「非アルコール性脂肪肝炎による肝硬変」であれば障害年金の対象とするということが明確になったといえます。
(つづく)

【法改正】「肝疾患による障害」の基準の改正 その2

前号で触れた「肝疾患による障害」の基準の改正のポイントについて触れてまいります。
1.重症度判断の検査項目について
肝疾患での重症度判定の検査項目及び異常値については、例えば「総ビリルビン」で測定していたものを「血清総ビリルビン」で測定することとなりました。また、「血清アルブミン」の異常値の判定が緩和されるなど、判定基準の数値変更がされています。
2.検査項目の異常の数が基準に盛り込まれ、臨床所見も含めて判断されることとなりました。
これは、「障害の状態」の判定基準の中に、例えば「高度の異常を2つ以上示すもの」など具体的にいくつ異常値が必要であるかが明確になりました。
また、「臨床所見」が判断基準に入ってきたことが非常に重要です。臨床所見とは、患者さんの自覚症状、他覚症状、視診、触診、聴診、家族や周辺の人(入院の場合は看護婦等も含む。)の話によって判断できるということです。臨床所見を的確に「申立書」に記載することにより、障害年金の受給の可能性を高めることが考えられます。
「障害ねんきん相談室」では、みなさまからのお話を十分にお聞きすることにより、有効な「申立書」の作成に努めて参りたいと思います。
(つづく)

【法改正】「肝疾患による障害」の基準の改正 その1

平成26年6月1日から、「肝疾患による障害」の基準が改正されました。肝疾患による障害の基準について、近年の医学的知見を反映するための改正です。「障害ねんきん相談室」では、昨年の8月から11月に開催された厚生労働省での「専門家会合」に注目していまいりました。
「肝疾患による障害」の基準の改正は、次の点がポイントとなります。
1.重症度を判断するための検査項目について見直しが行われました。
2.検査項目の異常の数が基準に盛り込まれ、臨床所見も含めて判断されることとなりました。
3.アルコール性肝硬変の基準につき追加がされました。
次号からは、この改正のポイントについて触れていきたいと思います。
(つづく)
 

【法改正】老齢厚生年金の障害特例がさかのぼって受給できる? その4

今回の法改正により老齢厚生年金の障害特例がさかのぼって受給できるのは、以下3つのケースです。
<ケース1>老齢厚生年金を受け取ることができる日にさかのぼる場合
<ケース2>障害認定日にさかのぼる場合
<ケース3>会社を辞めた翌日にさかのぼる場合
共済年金も同様の扱いとなります。また障害者特例の請求には診断書等が必要となる場合もありますので、詳しいことは障害ねんきん相談室にご相談ください。
障害ねんきん相談室では障害年金に関することだけに留まらず、障害をお持ちの方にメリットとなるニュースをこれからも発信していきます。

【法改正】老齢厚生年金の障害特例がさかのぼって受給できる? その3

前回、現在の「老齢厚生年金の障害者特例」のしくみについて、ご説明しました。
法改正前の制度では、老齢厚生年金の障害者特例に該当していても「障害者特例です。」と申し出ずに請求書を提出してしまうと、老齢厚生年金は「報酬比例部分」しか支給されません。あとから気がついて申し出ても、申し出た日の翌月からしか受給することができませんでした。すなわち、「障害者特例」は申し出があってから将来に向かってのみ支給されることになっていたのです。
今回の改正により、障害厚生年金等を受給している方については、障害状態にあると判断される時にさかのぼって、支給されることになりました。これが老齢厚生年金の障害特例の支給開始時期の見直しに係る改正です。
(次回に続く)

【法改正】老齢厚生年金の障害特例がさかのぼって受給できる? その2

法改正の内容を知る前に、現在の「老齢厚生年金の障害者特例」のしくみについて、ご説明します。
平成26年度現在、老齢厚生年金が受給できる年齢は男性で61歳から、女性で60才からとなっています(年金制度に25年以上加入して、そのうち、厚生年金に最低1年以上加入していることが条件)。 65歳になるまで受給できる老齢厚生年金は「報酬比例部分」のみですが、「障害者特例」に該当する方は「定額部分」が支給され、配偶者や子ども(高校生以下)がいる場合には条件により加給年金が加算され、「報酬比例部分」の倍以上の年金を受け取れる方もいらっしゃいます。
<障害者特例の条件>
1. 障害等級の1級から3級に該当していること
2. 会社を退職していること(厚生年金に加入していなければ、パート等OK)
3. 60歳から65歳未満のあいだに受給資格を満たしていること 障害年金が請求できなかった方でも、障害特例に該当する場合がありますので、 詳しいことは障害ねんきん相談室にご相談ください。
(次回に続く)

【法改正】老齢厚生年金の障害特例がさかのぼって受給できる? その1

前回に引き続き「年金機能強化法」の法改正について、お知らせいたします。老齢厚生年金の障害特例に該当する方の支給開始時期が見直されたことにより、老齢厚生年金の一部がさかのぼって受給できる場合があります。
まず、改正前の制度の概要についてご説明し、順次法改正後の内容にいついてお知らせいたします。
(次回に続く)

【法改正】障害が急に重くなったら年金額の改定請求を その6

 前回触れました診断書を提出し審査をしてもらえるケースには、「精神の障害」が含まれていません。 「統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害」、「気分(感情)障害」、「症状性を含む器質性精神障害(高次脳機能障害を含む)」、「てんかん」、「知的障害」、及び「発達障害」は、1年以内に急性憎悪する疾病ではないため、対象とすることがふさわしくないと考えられているからです。 これについては精神障害で障害年金を請求しようという方にとっては、落胆することかもしれません。しかし、逆に考えると初回の申請は非常に重要だということです。 障害年金は、多くの条件につき多数の書類をもとに審査されるので、書類の揃え方ひとつで年金額や年金の受給が左右されるケースが多いといえます。「障害ねんきん相談室」では、精神の障害の初回の申請についてはこの点に特に注意を払って代理請求をしております。

【法改正】障害が急に重くなったら年金額の改定請求を その5

 診断書を提出して、審査をしてもらえるとする対象は、傷病名別ではなく、増進した障害の状態で判断されます。具体的には、以下の22項目です。
① 両眼の視力の和が0.04以下となった場合
② 両眼の視力の和が0.05以上0.08以下となった場合
③ 両眼の視野がそれぞれ5度以内となった場合
④ 両眼の視野がそれぞれ中心10度以内におさまるもので、 かつ、10度以内の8方向の残存視野の角度の合計が56度以内となった場合
⑤ 両耳の聴力レベルが100デジベル以上になった場合
⑥ 両耳の聴力が90デジベル以上になった場合
⑦ 喉頭全摘出手術を施した場合
⑧ 両上肢のすべての指を欠いた場合
⑨ 両下肢を足関節以上で欠いた場合
⑩ 両上肢の親指および人差し指または中指を欠いた場合
⑪ 一上肢のすべての指を欠いた場合
⑫ 両下肢のすべての指を欠いた場合
⑬ 一下肢を足関節以上で欠いた場合
⑭ 四肢又は指の麻痺(完全麻痺に限る)(脳血管障害又は脊髄の器質障害については6か月以上継続した場合に限る)
⑮ 心臓移植又は人工心臓(補助人工心臓を含む)の使用
⑯ CRT(心臓再同期医療機器)又はCRT‐D(除細動器機能付き心臓再同期医療機器)を装着した場合
⑰ 人工透析療法の施行(3か月以上継続した場合に限る)
⑱ 人工肛門を造設し、かつ、新膀胱を造設した場合(人工肛門については6か月以上継続した場合に限る)
⑲ 人工肛門を造設し、かつ、尿路変更術を施した場合(6か月以上継続した場合に限る)
⑳ 人工肛門を造設し、かつ、完全排尿障害状態(カテーテル留置又は自己導尿の常時施行を必要とする場合)にある場合(6か月以上継続した場合に限る)
21 脳死状態又は遷延性植物状態になった場合(遷延性植物状態については3か月以上継続した場合に限る)
22 人工呼吸器の装着(一か月以上常時継続した場合に限る) 現在障害年金を受給中で、上記に該当する方は1年を待たずに額の改定請求できる可能性が出てきます。詳しいことは障害ねんきん相談室にご相談ください。

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